長田工業所ってどんなところ?
工場に入ると職人さんたちが作業をしていました。工場内では鉄を切断する音や、金属と金属がぶつかる音がこだまし、鉄工所の雰囲気を体全体で感じます。ここがものづくりの現場……!
まずは工場見学から。長田工業所社長の小林輝之さんに工場を案内いただきました。
「あれ、溶接ってこんなネジくらいの大きさでくっついちゃうんですか?」
「これは金属同士を仮止めしておくための仮溶接です。見た目ははんだ付けっぽい感じになりますね。一つの部分に熱をかけすぎるとそこだけ歪んでしまうので、点々と仮溶接したあとで本溶接に取りかかります」
「こちらが仕上げの溶接をしたものです。金属の接地面を覆うように接合されています」
「普段仕上げられたものしか目にすることがないので、溶接ってこんな感じで進めるんだと驚きました。大きな家具を組み立てる時、四隅のネジを軽く仮止めして、最後にバランスよくしっかり締め上げますが、それに似ている感じというか」
「金属の板を曲げたりつぶしたりするときに使う『プレス機』です。ちなみに、動力部以外はすべてうちの工場で数十年前に先代が作ったものです」
「といっても、最新の機械ではないので、簡単な加工でしか使っていませんけどね。最近のコンピューター制御で動くプレス機は寸法を入力するとその数値どおりに切断できますが、これはアナログなので大雑把な曲げ加工の時に重宝しています」
「そうですね。金属加工って、どこまできれいに加工するかによって、当然ながら加工費も変動するんですよ。どのレベル感の精密さが必要なのか、それによって使う機械も使い分けています。うちで対応できない加工技術があれば、それ専門の会社さんに依頼することもありますから」
「工場内の端っこまでやってきました。この出口には大きなトラックがありますね。こちらで製品の搬出をするわけですね」
「そうです。うちの工場では、材料を切断→組み立て→溶接→塗装→トラックで配送という流れを工場の中に組み込んでいます」